2017年8月21日月曜日

エレノア・クリスウェル・ハンナ先生

この秋に日本に来る、エレノア先生がどんな方が知らない人がほとんどなので、ここで少し紹介をします。

エレノア・クリスウェル・ハンナ先生は、ハンナ・ソマティクスの創始者トーマス・ハンナの元パートナーで、アメリカでソマティクスという分野が誕生し発展するのを、陰で静かに支えながら、多大な貢献をした方です。そもそも、現在「ソマティクス」と呼ばれるカテゴリーに、その名称を与えたのはトーマス・ハンナです。西洋医学と相反する、心身はひとつであるという考えに基づいた様々なワークが60年代のアメリカに現れた時に、それらをひとつのカテゴリーとして捉えようと、「ソマティクス」という言葉をハンナが使いはじめたのが始まりです。トーマス・ハンナとエレノア先生は、「ソマティクス」という雑誌を定期刊行し、そのなかで様々なワークを紹介していきました。

エレノア先生ご自身は、カリフォルニア州にあるソノマ州立大学で40年以上も身体心理学を教えました。アメリカ国内で初めて、ヨガをアカデミックな場に取り入れ、ヨガの研究に貢献しています。また、大学レベルでは国内唯一のバイオフィードバックの認定プログラムを大学に設置しました。多くのバイオフィードバックプラクティショナーがこの大学から生まれています。

アメリカには国際ヨガ療法学会(IAYT)があり、数年前にエレノア先生はトップを務めています。現在も精力的に活動しており、アメリカヨガの世界の重鎮です。

心理学者であり、YOGIであり、そしてボディワーカーとしてハンナ・ソマティクスの発展にもエネルギーを注いています。ハンナ・ソマティクスのトレーニングはトーマス・ハンナが第1回目のトレーニングを開催した、まさにその真っ只中で、ハンナは自動車事故で亡くなりました。それ以来、エレノア先生がトーマス・ハンナの遺志を継いで、トレーニングを継続してきました。現在までに世界中からたくさんのボディワーカーがこのトレーニングに参加しています。

数年前から、ヨガ教師のためのハンナ・ソマティクストレーニングも始まりました。私が初めてエレノア先生にお会いしたのは、大学のヨガ心理学講座でした。当時、この講座は大人気で教室が学生でごった返していたのを覚えています。この講座で教わったのが、エレノア先生が開発した「ソマティック・ヨガ」です。個人的には、ヨガを教えるにあたって、ハンナ・ソマティクスの理論とテクニックはとても役に立つと思います。からだを意識することの大切さを理解し、怪我のない安全なヨガを行うには、ハンナ・ソマティクスはとても有益です。

エレノア先生、静かで控えめな印象です。慈愛に満ちたプレゼンスは禅を感じさせてくれます。日本人にとっては、とても親しみやすい方です。以下は、2016年にエレノア先生が来日した際、一緒に過ごした私の感想です。ソマティック心理協会の協会誌に投稿したものです。エレノア先生の雰囲気が伝わると思いますので、興味のある方は読んでみてください。



エレノア先生と過ごして・・・

2016420日、エレノア先生が成田空港の到着口から現れるのを見た途端、私は先生が日本の空気に不思議と馴染んでいることに気づきました。それから51日までの10日間、彼女と一緒に札幌、大阪、東京の3都市を一緒に移動しましたが、どこへ行っても、何をしていても、先生はその場の雰囲気にあまりにも自然に馴染んでいました。それは何なのかと考えてみると、エレノア先生の日本人/日本文化への敬意と理解、さらに、常に何かを学ぶ気持ち、あらゆるものや人を素直に受け入れる姿勢ではないかと思いました。そのようなところに、エレノア先生と出会った人は魅了されたのではないかと感じます。ここでは先生のそのような側面を示すエピソードをいくつか紹介します。
札幌で私はまず、女性アディクション専門のNPO法人リカバリーそれいゆで毎週行っている私のソマティック・エクササイズのクラスへ先生を招待しました。たった1時間半程度のクラスのなかで、先生は、メンバーらがこれまでどのようにソマティクスを体験してきたか、ひとりひとりの声が聞きたいと言いました。そこで13名ほどのメンバーにそれぞれ自分の体験をシェアしてもらうことになりました。メンバーそれぞれの視点から異なる体験を聞き、先生はソマティクスの多様な面を各々が自分の言葉で適格に表現していると、非常に喜んでくれました。メンバーらは先生との対面に多少緊張しながらも、私たちはマジックのような素晴らしい時間を過ごすことができました。そして先生も、それぞれのやり方でソマティックな変化を体験している女性たちとの出会いをとても喜んでくれました。
 エレノア先生のソマティックの学問や教育に対する情熱には並々ならぬものがあります。大阪では、先生のそんな一面を垣間見ることができました。大阪を訪れたのは、ヨガ療法士の会議に参加するためで、会議には米国、インド、日本から先生方が招待され、講演を行いました。そこでエレノア先生は疲れているのにも関わらず、最前列の席に座り、他の先生方の講演を、ノートをとりながら熱心に聞いているのです。そんな先生の姿がとても印象的でした。
私は先生が、日本だけでなく異文化に興味を持ち、異なる文化の考えや視点に敬意を払うことを知っていましたが、日本人や日本文化にこれほどまでに敬意と興味を示してくれるとは想像していませんでした。関西では京都を観光しましたが、京都に着くやいやな、先生は神社仏閣のある街並みに驚き、特に、神道に興味を持たれたようでした。「神道がこれほど日本人の生活に深く関わっているとは思わなかった」とたびたびおっしゃっていました。金閣寺や竜安寺、伏見神社などを堪能し、特に竜安寺が心に残ったとのことでした。「ここにいつまでも座っていられる」と言ったのが私には印象的でした。その後は、神道と仏教の違い、日本人と神道との関わり、人々は神社で何をお祈りしているのかなど、夜寝るまで先生の興味は尽きませんでした。訪れた寺院では御本尊を見ることができず、先生は最後までそのことを残念がっていました。またの機会に訪れたいと思っています。
 最後は東京でソマティック心理学協会のイベントと二日間のワークショップがありました。ある参加者が私に、「ハンナのワークも素晴らしいけれど、エレノア先生から何かを学びたいと思って参加しました。」と話してくれました。私もまさにそのひとりです。先生のソマティックな思考、視点、生き方から多くを学びたいと思い、長い間先生から教わってきました。ワークショップ終了後に、私は先生に「先生の、すべてを受け入れてくれる慈愛に満ちたプレゼンスのおかげでうまくいきました」と伝えると、参加者の何人かが既にそのような感想を伝えてくれたとのことで非常に喜んでいました。

今回、私は先生と身近に過ごすことで、先生の異文化への敬意と理解だけでなく、真摯に新しいものを受け入れ、ソマティックに発展し続ける先生の姿に感銘を受けました。日本に先生を招待することができて本当に良かったと思います。エレノア先生のハンナ・ソマティクスをみなさんと分かち合うことができました。少しでも日本のソマティックの発展に貢献することが先生の願いであるので、私自身もそのように願うと同時に、自分自身のソマティックな成長も続けていきたいと思っています。最後に、東京でソマティック心理学協会のイベントを企画実行してくださった久保 隆司さん、協会のメンバーのみなさまに心より感謝致します。